去年の夏のことだ。連日蒸し暑くて窓全開で寝ていたある日の深夜。確か2時か3時かだと思うが、どこからか、ラッパの音が聞こえてくる。
ぷぅーーーーーーーーー、ぷぅーーーーーーーー。
このくそ暑い真夜中にどこのアホウがラッパ吹いているのか、と思っていたが、それにしても毎日やってる割には全く上達しない。
しばらく続いたある日、今日はそのアホウの正体を見極めてやろうと思い立ち、着替えて外に出た。おそらくは近くの小学校のグラウンドの真ん中でやってるのだろう、とあたりをつけ自転車を漕ぐ。
深夜2時過ぎ。近頃は比較的規則的な生活をしているから無縁の時間だが、24時間スーパーやコンビニはもちろん営業しているし、近くの中華屋が2:00まで営業で、ちょうど営業を終わらせたコックさんたちが道端で涼んだりしている。小学校のそばのマンションではベランダでぼんやり立っている人がいたり、自分の想像以上に人の活動があるのが分かったのは、予期せぬ収穫か。
そして小学校に着いたがグラウンドには人影は無い。ラッパの音も何だか遠くなったようだ。
その日はそれで退散。帰っておとなしく寝た。
諦めきれずに翌日も深夜探索に出た。今度は先入観で場所を決めず、聞こえてくる音を頼りにそれに近付いていく戦略を取る。やっぱり小学校とは方角が違うようだ。あれ?あれれれ?なんだかこの24時間スーパーの駐車場から聞こえてくるぞ。だれもラッパ吹きと思しき奴はいないんだがなあ。
音が止んだので近くを適当にふらふらして音の再開を待つ。
ぷぅーーーーーー、ぷぅーーーーーー。
来た。やっぱりスーパーの駐車場だ。ん?え?は?何これ?
音は24時間スーパーに深夜納品に来る配送のトラックから聞こえる。…そう、トラックの荷台に付いているリフトが、少し錆びたりしているのか、荷物を降ろすために上げ下げするときに出るノイズだったのだ。
道理で全然上達しないわけだ。
下手なラッパ吹きの音と思い込んでいた自分を恥じながら、家に戻ってカミさんに報告。全く信じない。いいから明日、自分の目で見て来なよ、百聞は一見にしかずとかつぶやきながら久々の安眠を貪ったのだった。
さて今年の夏は梅雨明けが遅くて不順な天候だったが、ここに来て暑さがやってきたようだ。今年もまたラッパの音が聞こえてくるのだろうか。
