「リンカーン・ライム」シリーズは、以前「ボーン・アイデンティティー」の原作だと間違えて「ボーン・コレクター」を読んだのが最初だ。もう一冊くらい読もうと思って、「石の猿」あたりと思っていたが、表紙の絵が怖くて、ためらっていたのだ。読み始めれば、普通に楽しめたのだが。

終盤のどんでん返しで、なるほどなあ、と感心したが、そこからさらに結末へ持っていくのに、「ゴーストがなぜ残りの移民を殺す必要があったのか」を持ち出すのは、少しバランスが悪いと思う。この疑問はずっと読んでて気になっていて、読み落としたかなと思っていたくらいだ。それを最後のネタに引っ張るのは少々無理がある。

生き残った移民のサム・チャンが、ようやくゴーストに追われる恐怖から開放され、異国でのこれからの生活に思いを馳せるところは良かった。アメリカに2年間過ごしたことがあるが、駐在員として日本の会社の出先で働いていたから、アメリカでバリバリ仕事しているという感覚は薄かった。自分の能力では彼の地でちゃんと就職してある程度の収入を得るのは無理だろう、という感じもあった。それからもうだいぶ経つ。今ではアメリカどころか、単に新しい何かをすること自体が怖い。こんなことじゃいかんのだが、と感じつつの日々だから、移民の話にグッときたりするのだろう。

「ボーン・コレクター」に比べるとアメリアの立ち位置がずいぶんと違う感じだが、シリーズの途中を飛ばしているからだろう。状況は多少変わるが、各々の話は独立しているから、シリーズの順序などはあまり気にせず、面白そうなのから読んでいけば良さそうだ。