「フェルマーの最終定理」、「暗号解読」でお馴染みのサイモン・シン。新しい文庫が出ているのを電車の吊りビラで知り、遅ればせながら読んだ。
今度はビッグバン宇宙論の話で、天動説、地動説のあたりの話は、前にもどこかで読んだよなあ、という感じで、なんでこの題材なのかな、と思わなくもなかった。ただ、アインシュタインの宇宙項の辺りまで読み進めると、そういえばこの辺はちゃんと知らないなあ、という気になってくる。数式をほとんど使わず、エピソードの積み重ねで難しい理論を説きすすめていくのは、この作者の力量だ。
文庫版訳者あとがきにある通り、この本の「主人公は≪科学的方法≫」だ。新しいモデルが受け入れられるためには、今観測されている現象がきちんと説明できること、そのモデルで今後観測されるはずの現象が予想できることが重要だ、という科学の方法についての話が根底にある。また本来の目的とは異なる素晴らしいものに偶然出くわすという「セレンディピティー」の話も興味深い。
題材ゆえ、天文観測の話もたくさん出てきて、なんとなく望遠鏡で星が見たいと思ってしまった。
その他、最近読んだのは、堂場瞬一「マスク」と薬丸岳「天使のナイフ」。「天使のナイフ」は最後、登場人物の関係がきっちり収まりすぎて、逆に惜しいと思った。


