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堂場瞬一「アナザーフェイス」

木曜日、名古屋出張の帰りの新幹線で何読もうかと物色していたら、本屋の棚で発見。また新シリーズかよ、と帯を見て思ったが、とりあえず買って読んだ。

とある事情で一線を離れている刑事が、誘拐事件の捜査に投入され、能力を発揮するという話。主人公は大学時代に芝居をやっていたイケメン刑事で、人に警戒感を与えない、信頼関係を作るのがうまい、という設定だ。ちょっと変わった感じだが、いろいろ脇役も配置してあるし、途中でポシャらないで、うまくシリーズ化されればいいな、と思う。

名古屋の出張は、前の部署でのプロジェクトからみだった。外人との打合せがあり、英語力をもう少し切りの良いところまで使って、引継ぎだ。

英語力とはいっても、自分の能力ではちゃんとした通訳ができない。話の内容を理解して、自分がしゃべれるように伝える、というパターンになってしまう。元の日本語が言葉足らずと思うときは、英語で話すときに追加でいろいろ補足説明もするし、時には、これを伝えて欲しいという内容に対し、ちょっとそれは違うんじゃないの?と素直に訳さない時もあったりする。

「アナザーフェイス」に、主人公の演劇体験にからめて、次のくだりが出てくる。

役者は主に二種類に分けられる。どんな役でも自分の個性に当てはめてしまう「個性型」と、自分を殺して役になり切る「憑依型」だ。

この本を読んでいるときに、仕事のスタイルにもそういうのがあるのかな、とふと思ったが、ちゃんと通訳するのに越したことはないわけで、単に能力不足でこういうスタイルしかできない、という話と一緒にしちゃいけないよなあ。英語の上手な先輩の仕事ぶりを見習わなければ、と少し反省した。

堂場瞬一「青の懺悔」

真崎薫シリーズの2作目。1作目はハードカバーが出たときに読んで、紹介していた。その後あまり気にしてなかったんで、シリーズ化も気がつかず状態だったが、文庫で出てたので読んでみた。

1作目のように気にいらないところはなく、普通におもしろく読める。まー、ストーリーがアレなので、読後感は良くないが。そういえば、警視庁捜索課 高城賢吾シリーズも来週から連続TVドラマで放映されるそうだし、会社でポロッと堂場瞬一はよく読んでいる、とか話したら、「へー、私も全部読んでますよ」と言われたり、なんだかメジャーになったもんだなあと思う。

最近では「交錯」と「漂泊」を読んでいるが、いずれも面白く読んだ。普通に楽しんで、特に文句言いたい気分にもならずってことだと、あんまりブログのネタにする気にもならなかったりする。

ところで今、警視庁失踪課のTVドラマのWebサイトを見てみたら、どうやらTVには阿比留室長が出てこない模様。キャスティングが難しいのだろうが、ちょっと残念かも。じゃ、誰が?って言われても、「シリウスの道」のTV版の流れで、この人しか思いつかない。こんな役が似合う女優さんっていないのかな。垣根涼介の「君たちに明日はない」のTV版で、芹沢陽子を田中美佐子がやっていたのには唖然としたが、普段TVドラマを見る人間じゃないので、贅沢は言えない。

乃南アサ「いつか陽のあたる場所で」

それぞれ暗い過去を持つ、二人の女性を主人公にした連作シリーズの第1作だそうで、上野のブックエキスプレスで平積みになってたのを買って読んだ。うまい小説家だと思う。四作目の「すてる神あれば」で、芭子(はこ)が家族にさよならを言うあたりから、彼女が綾香の職場の様子を見に行くあたりは、なんだかウルッと来てしまった。

別シリーズ(といっても2冊だけかな)でおなじみの高木聖大巡査も登場し、文庫本の帯にもガンガン出てくる。こっちも、ああ、あいつが出てくる下町ものか、と思って買うわけで、売り方もうまいということになるかな。

舞台は谷中。一作目で、登場人物の大石老人があたりを散策する人に対して、覗き見趣味だと憤慨するシーンがある。自分も谷中のあたりは時々うろうろするが、なかなかうまい具合に写真が撮れない。自分にとっては、いい風情の散歩コースだけど、そこに住んでる人には生活の場なわけで、雰囲気いいからといってパチパチ写真撮ってるのってどうよ、と思う気持ちがなくはなかったから、ということかも。

読んでて、あの辺だなと分かる部分もあって、なんだかうれしく思ったし、この本の舞台を巡るつもりで、おとなしく歩いてみる分にはバチは当たらないだろう、と勝手に解釈しているが。

佐藤多佳子「一瞬の風になれ」他

春野台高校陸上部を舞台に、幼なじみで天才スプリンターの一ノ瀬連と一緒に頑張る主人公、神谷新二を描いた青春小説だ。主人公の一人称の語りでつづられる文章にはリズムがあり、登場人物のキャラクターも魅力的だ。ステレオタイプな描写もあるのかもしれないが、いろいろなエピソードが楽しい。

ヒネクレた年寄りの自分も、青春っていいなあ、と素直に思える熱い作品だ。久々にうるうるしながら、一気に三冊読んだ。

これを読むきっかけは、あるブログの紹介記事だ。その記事では、彼らのその後が少し気になる、という感想があったけど、自分は、一番良いところで終わらせてきちんと完結したな、という印象だった。

青春小説といえば、少し毛色はちがうが、瀬尾まいこ「図書館の神様」も良い。これはだいぶ前に買って、もう2度ほど読んでいるが、感想を書きそびれていた。もともと体育会系の主人公の高校講師が、なぜか文芸部の顧問をさせられる話。顧問をしているうちに、いろんな文学作品に興味を持ったり、自分がおもしろいと思った小説に授業の材料を差し替えたり、という心境の変化の部分がおもしろいと思った。

それにしても、普段この手のは読まないのになぜ上野のTSUTAYAで手に取ったのだろう、と疑問だったが、どうもタイトルに「図書館」が入っていたからという単純な理由のようだ。(図書館モノは少し興味があって、これまでも数冊読んでいる。)沈んでいた気分が少し救われたので、これは買って正解だった。

誉田哲也「ソウルケイジ」他

どこかのブログで、「ジウ(1)(2)(3)」が面白いというので、読んでみた。確かに主人公の門倉美咲はいい感じで、面白く読めた。適度に浪花節的なところもあって良いのだが、自分の本読みのレベルが低いせいか、なんだか細かいところがよく分からないままストーリーだけを追っかけてしまった感じ。そのくせもう一度読んで分からないところを補おうという気には、なかなかなれなかった。

そしたら、今度は出張の移動中に「ストロベリーナイト」を見つけたので、読んでみた。姫川玲子シリーズの最初の奴なので、登場人物の紹介が少し煩わしくて、キャラクターもなんだかマンガやアニメのように極端な感じがイマイチ乗れなかった。だけど、浪花節的に泣かせるところがあるのは気にはなっていた。

で、せっかくのシリーズだからってことで読んでみたのが、「ソウルケイジ」。シリーズ2冊目でだいぶ慣れたのか、これはそんなに違和感なく楽しく読むことができた。なんとなくイマイチ感を抱きながらも、5冊も読んだってのは、やっぱりいずれも主人公のキャラクターが気になるからなのだろう。久々に次も読みたいな、と思う作者に出会えた感じだ。

それにしても、堂場瞬一、今野敏、佐々木譲、乃南アサ、となんだか警察モノばかり読んでる気がする。(感想は書かないけど横山秀夫とかもたまに読むし。)まあ、背景が分かりやすくて楽に読めるってのが大きいんだろう。てゆうか、同じジャンルなのに新しい作者に手を出すのに、こんなに手こずってるというのは、歳取った証拠だよなぁと思う。